シニア向けVRエクササイズ、全国自治体の80%が導入検討

シニア向けVRエクササイズのイメージ図

全国市長会が実施した調査で、VR(仮想現実)を活用したシニア向けエクササイズプログラムの導入を検討している自治体が80%に達したことが明らかになった。コロナ禍以降、高齢者の運動不足が深刻化する中、自宅で楽しく運動できる新たな選択肢として注目を集めている。

VRエクササイズは、ゴーグルを装着して仮想空間内でゲーム感覚で体を動かすプログラム。世界各地の観光地を歩いたり、若い頃の思い出の場所を訪れたりしながら運動できる点が人気を集めている。東京都世田谷区では昨年から試験導入を開始し、参加者の運動継続率が従来のプログラムの2倍以上となった。

筑波大学の佐藤花子教授の研究チームは、VRエクササイズを週3回、3ヶ月間継続したグループでは、通常のエクササイズグループと比較して筋力が平均25%向上し、認知機能テストの成績も15%改善したと報告している。「仮想空間での体験が脳を刺激し、身体機能と認知機能の両方に良い影響を与えている」と佐藤教授は分析する。

デジタル庁は2026年度予算で、自治体へのVR機器導入補助金として50億円を計上する方針。高齢者のデジタルデバイス利用促進の一環として、使い方講座の開催も支援する予定だ。